葬儀の香典の相場はいくら?香典の書き方や気を付けるべきマナーとは-香典返しのしきたりとマナー

葬儀の香典の相場はいくら?
香典の書き方や気を付けるべきマナーとは

突然の不幸でお通夜・葬儀に参列しなければならなくなった際、弔意を示すものとして用意するのが「香典」です。 しかし、香典にはマナーや避けるべきルールが多数存在するため、不安を覚える方もいるでしょう。 ここでは、香典に包む金額の相場や香典をお渡しするうえで知っておきたい基本的なマナーや、 宗教・宗派で異なる表書きの書き方や香典袋・水引の選び方、ご遺族から香典を辞退された場合の弔意の示し方について紹介します。

御霊前と書かれた香典袋と一万円札の画像

目次

香典とは

香典とは、お通夜や葬儀の際に、線香・抹香・お花の代わりに霊前へお供えするお金のことです。香典は「香典袋(不祝儀袋)」に入れ、「ふくさ(袱紗)」に包んで持ち運ぶならわしがあります。ふくさとは、金品を包むのに使用する儀礼用の絹布のことであり、葬儀では香典を「ふくさ」に包むのがマナーです。

香典の相場と注意点

香典の相場は、故人やご遺族とのお付き合いの深さ、ご自身の年齢や立場、葬儀を執り行う地域によって異なります。詳しくは周囲の方に聞いて金額を揃えてもよいのですが、あらかじめ相場は知っておきたいところです。

以下の表で、葬儀に参列する会葬者として出席する場合にお持ちする香典の目安を紹介します。「関係性」は故人との関係、「相場」は会葬者のご年齢に応じた金額の目安です。 なお、香典を包む際には「奇数」の額にして、お札の枚数も奇数になるように注意します。奇数にするのは、割り切れる数字が「(故人との)縁が切れる」ことを連想させるからだといわれています。また、「死(4)」や「苦(9)」を連想させる不吉な数字も避けるならわしがあります。

<葬儀で包む香典の相場>

数字 漢数字
1 壱、一
2 弐、二
3 参、三
4 この数字を含む金額は包みません。
5 伍、五
6
7
8
9 この数字を含む金額は包みません。
10 拾、十
100
1,000 阡、千
10,000 萬、万

いくら包むか香典金額に迷った場合

香典は、故人との関係を考慮して包みます。少なすぎるのも、多すぎるのも避けるべきです。香典を何度もお渡しすることは、「不幸が重なる」という意味に繋がってしまうため、もし包んだ香典の額が少なかったと後から気づいてしまっても、もう一度お渡しするのはタブーにあたるので気を付けましょう。その点からも、もし香典の金額で悩まれた時には、高いほうの金額にしておいたほうが後で後悔することがありません。 お通夜と葬儀のどちらかでお渡ししますが、どのタイミングでお渡しするのかについては地域差があります。

香典のマナー

香典にはいくつかのルールがあり、表書きに関しては宗教・宗派ごとに異なるマナーが存在します。こちらでは、香典のルールやマナーについて紹介します。なお、香典にはあえて古札を入れて、「突然の不幸で、用意ができなかった」ことを示す風習があります。新札ではなく古札を選ぶようにしましょう。

お札の入れ方

香典袋へお札を入れる際の厳密なルールはありませんが、お札の肖像画が中袋の裏に来るように入れるのが一般的です。中袋を裏にして開け、お札を取り出したとき、上のほうに「金額」、下のほうに「肖像画」がくるようにします。これは、お札を裏にして入れることで哀悼の意を示しているという説もありますが、たくさんの香典を管理する際に、封を切り一目で金額を確認しやすいよう配慮するためともいわれています。

金額の書き方

香典袋を開けたときにいくら入っているのかすぐ把握できるように、中袋の中央に金額を記載しましょう。金額は、「金○○円」と縦書きで記入します。金額は読み間違えないように旧字体で書くのがよいとされていますが、略式で記載してもタブーにはあたりません。旧字体であれ略式であれ、「漢数字」で記載しましょう。

<旧字体と略式の漢数字>

宗教・宗派 表書き 水引
仏教 御香典、御霊前、御香料、御弔料、御佛前、御供 ・白黒(地域によっては黄白)か双銀の結び切り
・白無地の封筒あるいは蓮の花がデザインされた袋に入れる
真宗
(浄土真宗)
御仏前 ・白黒(地域によっては黄白)か双銀の結び切り
・白無地の封筒あるいは蓮の花がデザインされた袋に入れる
神道 御玉串料、御神前、御榊料、御霊前 ・白黒(地域によっては黄白)か双銀の結び切り
・白無地の袋に入れる
キリスト教
(カトリック)
御花料、献花料、御ミサ料、御霊前 ・水引は不要
・白無地の袋あるいは白百合・十字架がデザインされた袋に入れる
キリスト教
(プロテスタント)
御花料、献花料、忌慰料、忌慰料
無宗教・個人の宗派
が不明の場合
御霊前 ・白黒(地域によっては黄白)か双銀の結び切り
・白無地の袋に入れる

【宗教別】表書きの「名目」と「水引」の違い

水引の上には、「御香典」や「御霊前」などの名目を記載します。表書きを書く際には毛筆か筆ペンを用意し、楷書で丁寧に記しましょう。葬儀のときにお渡しする香典袋には薄墨を用いて名目を書くのが一般的ですが、京都など関西圏の一部地域では濃墨を用いることもあります。

宗教・宗派によっては、表書きや水引に違いがありますので、別の宗教・宗派のものと混同しないように注意してください。また、水引に「黄白」を用いる地域もあります。表書きの書き方と併せて、念のため参列される方や地域の方に確認をしておくとよいでしょう。

<お通夜・葬儀の表書きと水引>

水引を用いる場合は、金額に応じて以下のように袋の種類が変わります。

  • 5,000円以内:水引が印刷された袋
  • 5,000~20,000円ほど:奉書紙+黒白の水引がついた袋
  • 30,000~50,000円ほど:和紙に双銀の水引がついた高級感のある袋
  • 50,000~100,000円以上:高級な和紙に豪華な双銀の水引がついた大判の袋

仏教

仏式の場合、四十九日法要の後に故人が成仏すると考えられているため、お通夜や葬儀では、基本的に「御霊前」を使用します。それまではまだ仏にはなっていないので、「御仏前」の使用は避けましょう。香典袋は白無地あるいは蓮の絵がデザインされたものを選び、水引は白黒か双銀を選ぶのが基本です。

真宗(浄土真宗)

浄土真宗では、亡くなった故人はすぐ仏になり、極楽浄土へ招かれると考えられているため、「御霊前」という概念がありません。そのため、お通夜や葬儀はもちろん、どの法事であっても「御仏前」と記すのが一般的です。香典袋は仏式と同様に白黒か双銀の水引、白無地あるいは蓮の絵がデザインされた袋を選びましょう。

神道

忌中・忌明け後にかかわらず、「御神前」、「御玉串料」、「御榊料」といった名目を使用します。神式の香典は故人や遺族にお渡しするものではなく、神前に捧げるものと考えられています。そのため、「御仏前」の私用は避けましょう。なお、「御霊前」を使用するのは問題ありません。水引は白黒か双銀の結び切りを選び、白い無地の香典袋に入れてお渡しします。

キリスト教

キリスト教の場合、カトリックとプロテスタントで書き方が異なります。用意するのは一般的な香典袋で問題ありませんが、すでに表書きが印字されているものや仏式を彷彿とさせる「蓮の花」がデザインされた香典袋は避け、白無地あるいは「百合の花」か「十字架」がデザインされたものを選びましょう。

カトリックの場合、表書きは「御花料(お花料)」、「献花料」、「御ミサ料」などがよく使われます。カトリックに限っては、仏式でも用いられる「御霊前」と書いても失礼にはあたりません。 プロテスタントの場合、「御花料(お花料)」、「献花料」、「忌慰料」といった表書きが使われます。プロテスタントの場合は「御霊前」を使用できませんので注意しましょう。

無宗教

宗教・宗派が不明あるいは無宗教の故人であれば、表書きには汎用性の高い「御霊前」と記載し、白無地の袋に包みます。ただし、「霊」という概念がない浄土真宗やプロテスタントに「御霊前」という表書きはできないので、この宗教・宗派にあたらないかどうかは確認しておくとよいでしょう。

表書きの「名前」の書き方

連名や代表者の名前のみ記載する場合にも、いくつかルールが決まっています。地域によってマナーが異なりますので、表書きを書く場合には地域ならではの風習がないか確認しておくと安心です。いずれにしても、喪家側が「誰からいただいた香典かすぐにわかる」ように配慮した記載を心がけましょう。

夫婦連名の場合

水引の下、中央に夫のフルネームを記載します。妻の名前は苗字を除いて下揃えにし、夫の名前の左横に添わせるように書くのが一般的です。

法人名・学校名を添える場合

仕事関係・学校関係の香典を包む場合には、法人名・学校名などを添えます。水引の下・中央に名前を記載したら、その右側に法人名・学校名を記載するとよいでしょう。連名で包む場合も同様に記載します。

連名表記の場合

連名の場合、3人までは全員の名前を記載できます。中央にはもっとも目上の方の名前を書き、目下の方は左端に来るように名前を添えましょう。例えば上司・先輩と連名する場合は、まず水引の下・中央に上司のフルネーム、左に先輩のフルネーム、その左に自分のフルネームといった順番です。部署単位で包む場合は、中央に「○○部一同」と書き、右側に会社名を記載します。

上下関係のない連名であれば、五十音順で記載するとよいでしょう。4人以上の連名で出す場合は、代表者だけ名前を書き、左下に下揃えで「他○名」と添えます。会社関係者や学校関係者の連名で香典を包む場合、個人名は記載せず、水引の下・中央に「○○(法人名・学校名)一同」と記載します。

代表者名を書く場合

一人で香典を包むのと同様に、水引の下・中央に代表者の名前を記載します。代表者名の右側には法人名・学校名を記載し、その左側に下揃えで「外一同(他一同)」と添えます。

代理でお渡しする場合

代理人に香典を渡してもらう場合は、表書きの中央には本人の名前を書き、その下に「(代)」と記載します。 なお、代理人が妻の場合は「(内)」と記すのが一般的です。代理人の名前を添える場合は、(代)や(内)の下に小さく記入しましょう。

香典の包み方

香典袋は「ふくさ」に包んで持参するのがマナーです。赤・オレンジ・ベージュといった暖色系のふくさは、慶事に使われるため弔事の場合には紺・深緑・グレーといった寒色系を選びましょう。 ふくさは、包むタイプと挟むタイプに分けられます。包むタイプは、シンプルな「風呂敷タイプ」や留めるための金具がついた「爪付きタイプ」、香典を載せる台と固定用の紐がついた「台付きタイプ」があります。一方、挟むタイプは「金封ふくさ」といい、横長の封筒に似た形をしており、老若男女を問わず簡単に香典を包めるふくさです。

どのタイプを使っても問題ありませんが、正式な場面では格式高い「風呂敷タイプ」が用いられます。迷ったら風呂敷タイプを、ふくさに慣れていない場合は「金封ふくさ」を用意するとよいでしょう。

風呂敷タイプの包み方は、まずふくさの角を真上に持っていき、ひし形になるよう広げます。中央に、香典袋の表が見えるように置き、右、下、上の順に角をつまんで畳みます。最後に左側を折り、余った端は裏側に回して、長方形になるよう畳めば完成です。 ふくさは文具店やスーパーなどで手に入りますが、急な知らせでふくさを購入する余裕のない場合は、暗い色のハンカチや小さめの風呂敷で代用できます。

香典をお渡しするタイミング

受付が設けられている葬儀の場合は、受付で香典をお渡しします。通夜・告別式の当日は、喪主やご遺族は葬儀に参列される会葬者の対応で忙しいため、受付でまとめて香典を管理していることがあります。当日返しの場合、香典をお渡しした直後に受付から香典返しの品を受け取ります。喪主やご遺族に香典を直接お渡しすると、受け取った喪主やご遺族が受付へわざわざ受け取った香典を持っていき、記録してもらうという手間をかけてしまうため注意しましょう。親族として早めに会場へ着いたとしても、喪主やご遺族へ直接お渡しするのではなく、受付にお渡しするほうが、喪主やご遺族にとってもよいでしょう。 家族葬など、小さな葬儀で受付が用意されていない場合は、祭壇の前に「切手盆」と呼ばれる縦長で黒塗りのお盆が用意されているため、焼香が始まる前にそちらへ出します。

香典を辞退された場合

ご遺族が香典を辞退された場合は、基本的に香典を用意する必要はありません。不安であれば香典を用意しておき、お渡しするかどうかはご遺族の意向に合わせるとよいでしょう。

香典を辞退する理由は様々ですが、無理に香典をお渡しすると香典返しを用意する費用がかさんだりお礼状をしたためる手間が発生したりと、ご遺族の負担を増やしてしまう可能性があります。香典を辞退された場合は、供物や供花、弔電など香典以外の方法で弔意を示すことをおすすめします。ただし、このような形で弔意を示す場合も、あらかじめご遺族の意向を確認してから送りましょう。

ご遺族の意向とマナーに沿って香典を包みましょう

香典は、お香の代わりに包む金銭のことであり、弔意を示し、少しでもご遺族の助けになればという気持ちで包むものです。包む金額については故人との関係性や自分の年齢、社会的地位、地域によっても変わります。今回ご紹介した相場を参考にしながら、地域の方やほかの会葬者に話を伺って包む額を決定するとよいでしょう。 また、ご遺族の事情によっては香典を辞退されるケースもあります。そのような場合は無理に香典をお渡しするのではなく、別の形で弔意を示します。しかし、香典以外のものも遠慮したいと考えるご遺族もいらっしゃいます。香典以外で弔意を示したいとお考えの場合は、ご遺族の意向を尊重する心構えを忘れないようにしましょう。

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