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葬儀の受付は誰に任せる?手伝いを任された場合のマナーも紹介

葬儀の受付は、参列される方を遺族に代わってご案内する大切な役割を担っています。ここでは葬儀の受付係が行う作業をはじめ、服装や対応のマナー、必要な準備などをまとめました。受付係の手伝いを頼まれたとき、誰に受付係を頼んで良いのかわからないときなどに参考にしてみてください。

葬儀受付での記帳のイメージ

目次

葬儀の受付係の役割

葬儀の受付係の役割は、葬儀に参列される方の応対作業全般をすることです。具体的には、以下のような作業を行います。

参列者・弔問者への挨拶

参列者の方、弔問される方に対し挨拶をします。葬儀は厳かな場ですので、穏やかで静かなトーンで挨拶するように心がけます。挨拶の言い回しとしては、「本日はお忙しいなかお越しいただきまして、ありがとうございます」という表現が適切です。また、喪主の親族の方には「この度はお悔やみ申し上げます」とお声がけしましょう。

お香典を受け取る

お香典を受け取るときは、必ず両手で受け取りましょう。「お預かりいたします」という一言とともに受け取り、一礼するのがマナーです。また、参列者の方がお供物をお持ちになる場合もあります。その場合は、お供物も一緒に受け取り、芳名帳に氏名・住所の記帳をお願いしましょう。

会葬御礼品を渡す

弔問に訪れた人に会葬御礼の品をお渡しします。具体的な返礼品の種類としては、タオルやお菓子、コーヒーなどの消耗品が一般的です。消耗品はその名の通り、使ったり食べたりすると後には何も残りません。そんな消耗品を葬儀の返礼品として選ぶのは、「不祝儀を残さない」という意味が込められているためです。また、会葬御礼は葬儀当日に参列者の方へお持ち帰りいただくものであるため、かさばらず持ち運びしやすい品物が選ばれます。

会場へ案内する

「入口はあちらです」とお声がけしたうえで、会場へ案内します。冬場の場合、参列者の方のコートや上着をお預かりして番号札や引換券を渡します。なお、開場時間よりも早めに到着された方への対応は、受付を済ませたうえで待合室へお通ししましょう。

会計係へお香典を渡す

参列者の方を会場や待合室へ案内したら、会計係へお香典を渡します。紛失しないよう、できる限り早めに会計係へ渡すことが大切です。会計係は受付のすぐ後ろに控えていることが一般的ですが、大切なお金を預かる役割ですので、事前にしっかり顔を合わせて挨拶を済ませておく必要があります。

葬儀の受付係は誰に依頼すべき?

葬儀の受付係は誰に依頼するべきか、どのような方が適しているのでしょうか。一般的には、葬儀会社の方や遠縁の親戚に依頼するケースが多く見受けられます。受付係は貴重品である香典の管理や遅れてきた参列者の方の応対があるため、基本的に受付の場から離れられません。よって、故人の直系の親族には受付係を依頼しないのが一般的です。葬儀会社の方をはじめ、遠縁の親戚や喪主と親しい会社関係者などに依頼すると良いでしょう。

受付係は何人配置すべきなのか?

受付係は案内のほか香典や返礼品の管理など何かとやることが多く、1人では不十分なケースも少なくありません。葬儀の規模にもよりますが、2~3人に受付係を依頼しておくと安心です。

受付係を依頼された場合の対応

受付係を依頼された場合、基本的に引き受けるようにしましょう。葬儀の受付係は、葬儀会場の顔であると同時に、貴重品を管理する仕事です。そんな役割を依頼されるということは、相手の方から大きな信頼を寄せられている証拠です。謹んでお受けし、準備を進めましょう。ただし、やむを得ない事情がある場合は、この限りではありません。返事を保留せず、依頼をされた時点で丁寧にお断りすることが大切です。

電話で受付のお願いをされた場合、日付や場所をメモしたり復唱したりして間違いがないかの確認も忘れずに。その他必要なもの、準備しておいたほうが良いものの確認もとっておきましょう。

葬儀会社に受付を依頼する際のチェックポイント

近年では、葬儀会社のスタッフに受付を依頼するケースも増えています。その場合は、以下のポイントに着目して葬儀会社を選ぶと良いでしょう。

  • 受付代行サービスを実施しているか
  • 心付や別途費用はどれぐらい必要そうか
  • 仕事内容・範囲はどの程度なのか

とくに、受付代行と一言でいっても葬儀会社によって仕事の範囲が異なることがあります。葬儀の受付にかかる作業を全般的に担当してくれるところもあれば、葬儀会計を中心に行ってくれるところ、香典や参列者の方のデータを集計してまとめる、記録書作成に特化しているところなどさまざまです。どの作業を中心に葬儀会社へ任せるのか、役割分担する場合は、どのような割振りにするかを事前に決めておくことをおすすめします。

葬儀の受付を行う前の確認点

葬儀の受付前に確認しておきたい点や、準備しておきたいことをまとめました。挨拶から案内までの流れ、香典の取り扱いなど、当日になって慌てないよう事前にチェックしておきましょう。

開式の1~2時間前には会場へ集合

受付係やその手伝いを依頼された場合、開式の1~2時間前には会場へ到着しておくようにしましょう。葬儀社から受付の大まかな流れの説明を聞いたうえで、細かいチェックポイントを確認していきます。

記帳・返礼品を渡すまでの流れを確認

葬儀の受付には、参列者の方に対し氏名・住所を記帳してもらう「芳名帳」があります。記帳の方法と、返礼品を渡すまでの流れを大まかに確認しましょう。また、筆記用具や香典盆などの小物のチェックも忘れずに。なお、芳名帳ではなくカードの場合もありますが、使い方としては芳名帳と同じです。

返礼品については、品物の内容のほか、数量はどれくらいあるのかなどの点を把握しておきます。また、香典が連名や一同で出された場合の返礼品の対応についても確認しておきましょう。また、返礼品は受付時に渡すケースのほか、参列者の方がお帰りになる際に渡す場合もあります。地域の習慣によって返礼品を渡すタイミングが異なるため、この点も事前に確認しておくと良いでしょう。返礼品の残数はこまめに確認して、数が不足しそうであれば葬儀社のスタッフに声をかけます。

式場のお手洗い・喫煙所等の確認

式場内のお手洗いや喫煙所、自動販売機などの場所も把握しておきます。会場が広いと、案内するのに思いのほか手間取ってしまうかもしれません。速やかに案内できるよう、主要箇所の場所や行き方の事前確認は大事です。高齢の方が多く来場されそうな場合、バリアフリートイレの場所も確かめておくと良いでしょう。

受付開始時間の確認

本格的に受付が開始される時間は、概ね開式の1時間前程度です。この時間を目安に、受付の流れや返礼品の渡し方、会場内の各所の配置をチェックしておきます。

以上の点を確認しておき、受付へ移ります。なお受付係は、一般的に参列者の方の焼香がすべて完了したら交代で焼香を行います。入室・焼香のタイミングも確認しておくと安心です。

受付で香典を渡すイメージ

葬儀の受付をする際のマナー【対応編】

葬儀は厳かな場です。言葉遣いや態度に注意しないと、遺族の方や参列される方に不快な思いをさせてしまいます。受付係に必要な対応マナーを、以下でいくつか紹介します。

挨拶は言葉遣いに注意

丁寧な言葉遣いを心がけることは必須です。「本日はお忙しいなかお越しいただき、誠にありがとうございます」とお声がけするのが基本。悪天候の日には「お足元の悪いなかお越しいただき、誠にありがとうございます」とお声がけすると良いでしょう。

また、参列者の方を速やかに案内しようとして無意識のうちに早口になってしまうこともあります。できる限りゆっくりと穏やかなトーンで挨拶し、記帳のお願いや会場の案内をするように心がけます。

葬儀の場では、縁起が悪いとされる「忌み言葉」にも要注意です。たとえば「くれぐれも」や「ますます」などの重ね言葉は不幸が重なることを連想させ、タブーだとされています。受付をする際は、こうした言葉をうっかり使ってしまわないよう注意を払いましょう。

香典は両手で受け取る

渡された香典は両手で丁寧に受け取ります。受け取ったら、ゆっくりと一礼するのがマナーです。また、香典は参列者の方が受付から離れたときに会計係へ渡しましょう。参列者の方がその場にいるのに、さっさと会計係へ香典を渡すのはマナー違反です。

遺族が香典を辞退される場合の対応

近年では、ご遺族の方が香典を辞退するケースも増えています。その場合は、事前に香典辞退について、参列される方へ案内されていることがほとんどです。また、受付の近くに香典辞退を案内する貼り紙が設置される場合もあります。しかし、なかには「どうしてもお渡ししたい」と香典を持参する参列者の方もいるでしょう。そんなときは感謝の気持ちと遺族の意思を丁寧にお伝えしたうえで、香典をお断りします。

葬儀の受付をする際のマナー【服装編】

葬儀の受付係は、対応だけでなく服装にも気をつける必要があります。葬儀の場にふさわしい服装を心がけましょう。

男性の場合

男性の場合、「ブラックスーツ」を着用するのがマナーです。ブラックスーツは黒無地で、光沢のない生地でつくられているものを選びます。ワイシャツは白無地、ネクタイやベルト、シューズもスーツと同様に、黒一色で、装飾がないものを着用します。光沢のあるエナメル、スエードやクロコなど殺生を思わせる素材を選ぶのはマナー違反にあたるため要注意です。

女性の場合

女性の場合は、「ブラックフォーマル」と呼ばれる喪服を着用します。ブラックフォーマルはワンピーススタイルをはじめ、パンツスーツやアンサンブルスーツのものがあります。受付係は会場内を案内することがあるため、マナーを踏まえたうえで、動きやすい服装を選ぶのがおすすめです。

ブラックフォーマルは「ワンピースorセットアップスーツ」をはじめ「手袋」「パンプス」「ストッキング」「アクセサリー」「バッグ」などのアイテムで構成されています。男性と同様、装飾のある華美なものは避けるのがマナーです。パンプスについてはヒールが控えめのものを選ぶと、長丁場でも疲れにくいでしょう。服装全体としては、露出を控えて、落ち着きのある印象にまとめることが大切です。

葬儀や法事の服装マナーについて詳しくは、こちらの「法事・法要の服装のマナーとは?喪服・平服はどのように選ぶ?」でご覧いただけます。

滞りなく受付をするためのポイント

厳粛な雰囲気のなかで行う受付作業は、何かと気疲れしてしまうものです。滞りなく受付をするためには、以下のポイントを意識すると良いでしょう。

役割分担を行う

受付作業はやることが多く、1人だとうまく回せないこともあります。受付係は2~3人配置されることが一般的であるため、その人数で事前に役割分担をしておくと良いでしょう。「芳名帳へ記帳をお願いする」「香典・弔電の受け取り」「返礼品を渡す」などのタスクを洗い出しておき、分担しておくと当日の作業が進みやすくなります。

開式・出棺などの時間を把握しておく

参列される方のなかには、開式や出棺の時間を尋ねてくる方もいます。葬儀全体の流れや時間について把握しておくことはもちろん、プログラムごとの細かい予定を控えておくことも大切です。

相談先を決めておく

受付係として準備をしているとき、わからないことや対応に迷ってしまうこともあるでしょう。そんなときの相談先を、事前にはっきりさせておくことをおすすめします。返礼品や受付作業の小物の補充については葬儀社のスタッフに、参列者の方の応対に関する質問は喪主や遺族の方にするなどと決めておくと安心です。

葬儀の焼香台のイメージ

受付係は葬儀の顔

葬儀の受付係は、会場の顔です。参列者の方はもちろん、遺族の方にも不快な思いをさせないよう服装や立ち振る舞いに十分注意を払いましょう。受付係を任されたということは、遺族の方に大きな信頼を寄せられている証拠です。受付を機械的な仕事だと捉えずに、マナーをきちんと把握して対応に臨みましょう。


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